コアシステムジャパンでは、水の”かさ”、つまり水位を光の信号として測る「ヘテロコア光ファイバー式水位センサー(i-Line WL)」を開発し、マイクロ水力発電、下水道、そして河川・水路の水位モニタリングを行ってきました。

では、水位を測ることで私たちの生活にどのようなメリットが生まれるのでしょうか?また、なぜ光ファイバーセンサーが選ばれるのでしょうか?この技術ノートでは、光ファイバーセンサーで水位を測る理由やメリットをご紹介したいと思います。

なぜ水位を測るのか?

私たちの身の回りで水かさを意識するのは、お風呂の湯を沸かすときだと思います。自動湯沸かし器のボタンを押して湯船にお湯をためるとき、湯船にちょうどいい量の水がたまることで気持ちよくお風呂に入ることができます。逆に、お風呂の湯が多すぎると湯船からあふれてお湯がもったいないですし、お湯が足りないと肩までしっかり浸かれません。

同じようなことが河川・水路でもあります。台風や集中豪雨などで降水量が増えるときに、水を流すための河川・水路が許容量を超えてしまうと、河川が氾濫してしまいます。また、雨水を排出するための下水道も同じく許容量を超えると、マンホールから水があふれて内水氾濫を引き起こします

降水量そのものをコントロールすることはできませんが、それぞれのインフラで水位がどこまで上がっているかが分かれば、地域住民にいち早く適切に避難指示することができるようになります。また、降水量に対する各スポットの水位から、スポットの水量の許容量を把握し、水路の増設や災害対策を立てることで将来の水害による被害を最小限に抑えることができます。

水力発電は、山間部などの標高が高い位置にダムや貯水槽を置き、そこから流れる水の勢いによって水車(発電機)を回して発電します。発電効率を上げるためには、水の流量に合わせて発電機の負荷を最適化する必要があります。そのため、ダムや貯水槽の水位情報をリアルタイムで測ることが求められます。

光ファイバーセンサーであるメリット

HPでもご紹介の通り、光ファイバーセンサーには従来の電気式センサーにはない様々なメリットがありますが、特に水位計測ではそれらのメリットが大いに発揮されます。

1. センサー・ケーブルがグラスファイバー(絶縁体)だから、落雷でもこわれない

河川・水路など、屋外で長期間設置する水位計測システムにとって、避雷対策はきわめて重要な課題です。通常の電気式水位計測システムは、メインシステムから水中までを通電しやすいメタルケーブルが配線しているので、落雷時にケーブル・センサー自体がアースとなって通電し、システム全体が破壊してしまう危険性があります。また、誘導雷でも同様に破壊されるリスクがあります。

光ファイバーセンサーは、センサー・ケーブルが石英ガラス製のファイバー(絶縁体)で出来ているので、落雷によって通電し、システムが破壊されるリスクが本質的にありません。そのため、長期的に屋外の水回りにシステムを設置していても、落雷による予期せぬシステムトラブルなどを起こさずに運用することが可能になります。

光ファイバー式水位計測システムの概要:センサー・ケーブルが全て光ファイバーなので、落雷などで壊れるリスクがありません

2. 長距離伝送に長けたケーブルを使うので、送電要らずでリモート計測できる

ケーブル延長が数百メートル~数キロメートルに及ぶ場合、通常の電気式センサーではケーブル自体の電気抵抗による電圧降下が原因で信号をうまく伝送することができません。当社のヘテロコア光ファイバーセンサーは、伝送ケーブルに長距離通信用のシングルモードファイバ―ケーブルを使用し、伝送光も伝送損失の少ない1300nm波長帯を使用しているので、最大片道数十キロメートルのケーブル延長が可能となります(当社実績:片道30km)

例えば、水力発電事業では、送電設備のない山間部で水位計測が必要となるケースがあり、光ファイバーケーブルでないと水位をリアルタイムで計測・メインシステムにフィードバックすることが困難です。(バッテリーを計測ポイントに併設する、という方法もありますが、常時測定する場合は消費電力が大きく、頻繁にバッテリー交換する必要が出てきます)

また、河川・水路・下水道など、長距離にわたるインフラで測定を行う場合にも、電力を確保できず電波も届かないような場所では片道数キロメートルをケーブル延長して測定する必要に迫られます。このような設置条件の厳しい場所でも、光ファイバーセンサーであれば容易に導入することが可能になります。

マイクロ水力発電への水位計導入例:光ファイバーセンサーであれば、800メートルほど離れた山奥でも水位をリアルタイムで計測・フィードバックすることができます

3. 計測システムの省電力化・小サイズ化

地下の貯水槽、マンホール内にスタンドアロン型の水位計測システムを丸ごと設置する場合、通常はバッテリも一緒に設置することになりますが、センサーの消費電力が大きいとバッテリも大型化し、設置作業者に負担がかかってしまいます。当社のヘテロコア光ファイバーセンサーでは、省電力のLED光源による計測方式を自社独自で確立し、従来の電気式センサーに比べて1/8の消費電力(4W→0.5W)を実現しました。これにより、必要なバッテリー容量も従来比で1/8になり、機器全体の軽量化にもつながりました。

また、光ファイバーが直径250μmほどの細長い構造でありセンサーにエレクトロニクス等が必要ないので、センサヘッドを厚さ10mm程度まで薄型化することができます。これにより、流れのある水中に設置しても流れを妨げにくい形状が実現できます。

下水道の事例:水位計を薄型化することで、センサーに堆積物が積み重なるリスクが減ります

まとめ

今回は、光ファイバーセンサーが水位計測にどのように貢献できるのか、水位計測システムへのニーズと光ファイバーセンサーの強みをご紹介しました。水位計測に関わる事業者の方にとって参考にあれば幸いです。

センサーのメカニズムについては、今後の技術ノートでご紹介したいと思っております。ご興味のある方は今しばらくお待ちいただければと思います。