ヘテロコア光ファイバーセンサーの概要
ヘテロコア光ファイバーセンサーとは?
ヘテロコア光ファイバーセンサーとは、コア径の異なる光ファイバー同士を接続することで、「光ファイバーの曲率形状によって光損失が一意に再現される」という性質を利用した、創価大学で世界で初めて発明された画期的なポイント型光ファイバーセンサー技術です。
図1は、ヘテロコア光ファイバーセンサーの基本構造を表しています。シングルモードファイバ(コア径9μm)の一部に、 異種のコア径(例えば5μm)の光ファイバを数mmの長さで融着・挿入することで「ヘテロコア(部)」と呼ぶセンサーポイントを形成しています。
この構造は緩やかに曲げ(曲率半径10~30mm程度、通常のシングルモード光ファイバーでは光損失が入らないほどの曲率)を与えると、 ヘテロコア部境界で数dB程度の直線的な光損失変化を生じます。
この損失変化はヘテロコア部に加わる曲率変化に対して線形的な増減をすること、またヘテロコア部の挿入長によって変化の度合い(傾き)が調整できること、 曲率を与える繰り返し再現性は0.1%(5μm)以下であることなどが確認されています。 さらに、センサー部の温度依存をもたないので実環境下において温度補正に神経を使うことがないというのもヘテロコア光ファイバーセンサーならではの特長です。一方で、本来髪の毛のように細くて柔らかい光ファイバー線だけではセンサー(計測器)として機能せず、どのような変形機構に委ねてモジュール化するかによってセンサーとしての実力を発揮します。
(ヘテロコア技術の特徴について詳しく知りたい方は、「光ファイバー(ヘテロコア方式)センサーの特徴」をご覧ください。)
ヘテロコア技術で実現した、省電力・安定の「i-Line センシングシステム」
コアシステムジャパンは、大学発ベンチャーとして設立して以来、ヘテロコア光ファイバーセンサーを変形機構に委ねてモジュール化した「i-Line センサー」、従来の光計測装置に比べて格段の省電力・安定性を実現した「i-Line コントローラ」、誰でもすぐ簡単に測定データを見られる「i-Line アプリ」からなる「光ファイバー・ワンストップソリューション」を実現しました。
- コアシステムジャパンの「i-Line センサー」は、センサー・ケーブル部に一切の電気素子を使わない変位計、傾斜計、水位計、振動計といった計測器を実現します。
- 「i-Line コントローラ」は、従来の光ファイバ―センサーでは難しかった「LED光源・フォトダイオードによる格段の省電力・安定計測」を高いコストパフォーマンスで実現しました。更に、USB通信、アナログ出力、LPWA(LTE-M、LoRa)をはじめとしたあらゆるデータ伝送方式に対応します。また、ユーザーの使いやすさを最大限考慮したシステム設計により、電源スイッチを入れるだけですぐに現場での光ファイバ計測を実現します。
- 「i-Line アプリ」では、PCアプリあるいはWEBアプリを活用して、ご要望に合ったデータ閲覧方法をご提案します。
(当社のソリューションについて詳しく知りたい方は、「光ファイバーセンサーワンストップソリューション」をご覧ください。)
これまでの光ファイバーセンサーとの比較
当社のヘテロコア光ファイバーセンサー技術が、ポイント型光ファイバーセンサー事例として紹介されました!(令和5年2月現在)
興味のある方は、下記のサイトをご覧ください。
参考文献
- 渡辺一弘ら:計測自動制御学会論文集、35(1)、32-37(1999)
- K. Watanabe et al.: IEICE Trans Electron, E83-C, 309-314 (2000)
- 佐々木博幸ら:計測自動制御学会論文集、40(10)、981-987(2004)
- 佐々木博幸ら:計測自動制御学会産業論文集、4(4)、25-33(2005)
- 渡辺一弘:電気学会論文誌C、128(10)、1504-1508(2008)
- 近哲也ら:計測自動制御学会論文集、49(12)、737-745(2010)
- 佐々木博幸ら:レーザー研究、41(5)、337-341(2013)