福島イノベーション・コースト構想が行っております、福島県浜通り地域を中心に起業・創出を支援する「Fukushima Tech Create(FTC)」に3年連続で採択していただきました!

今年度は先導技術事業化アクセラレーションプログラムの事業化フェーズに採択いただき、テーマを「光ファイバー水素センサーの試作品開発」と「水素事業団体との連携・情報収集」として活動していきます!

なぜ、いま水素なのか

世界は今、地球温暖化エネルギー資源の枯渇といった大きな課題に直面しています。
気温上昇や異常気象は年々深刻化し、石油や天然ガスといった化石燃料への依存は限界に近づくという声も上がっています。
さらに、国際情勢によるエネルギー価格の高騰や供給不安もあり、持続可能で安定した新しいエネルギー源が求められています。

その解決策のひとつとして注目されているのが、「水素」です。水素は、燃やしても二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーとして知られています。
水素の世界需要は今の5倍以上、日本でも8倍以上に広がると予測されています。すでに福島県(浪江町)では、水素を使った車や公共施設の実証実験が始まっており、来る水素社会の実現に最も近い町の一つです。

浪江町の水素ステーション(伊達重機様)視察の様子

立ちはだかる課題

しかし、水素社会の実現には大きな壁があります。

  1. 取り扱いが難しい
     水素は気体のままでは運びにくいため、液体にして体積を1/800に圧縮します。ところが、その状態を保つには**-253℃という超低温**が必要で、輸送や保管の技術的・コスト的なハードルが高いのです。また水素は着火エネルギーが最も低い気体で空気中濃度が4%以上で爆発する危険もある気体として知られています。
  2. 法規制が厳しい
     安全性の証明が不十分なため、水素は都市ガスのようにパイプラインで流すことが認められていません。社会実装に向けては、規制の壁をクリアする必要があります。

水素で未来をつくる。

私たちは、今年度より福島工業高等専門学校(以下福島高専)との共同研究で「水素センサーの製品化」に挑戦しています。
クリーンなエネルギーとして注目される水素を、もっと 安全に・身近に 使えるようにするための第一歩になると確信しております。

そこで今年度のFTCでは、次の2つの取り組みに挑戦します。

①水素センサーの試作品開発
②水素事業団体からの情報収集

これまでの水素センサーと新しい挑戦

従来、水素漏れを検知するには「接触燃焼式」や「電気化学式」といった電気を使うセンサーが一般的でした。
しかし、これらの方式はどうしても電気的なスパークやショートによる引火リスクを完全には取り除けません。安全性の面で本質的な課題を抱えていたのです。

そこで注目されているのが、光ファイバーを使った水素センサーです。
この方式ではセンサー部分に一切の電気部品を必要としないため、**「火花が起こらない=安全」**という大きな特長があります。

さらに光ファイバーはガラス製のため腐食やサビに強く、もともと通信インフラに使われている技術なので長距離の計測にも対応可能です。
そのため、将来的にはパイプラインなど大規模インフラへの導入にも大きな優位性を発揮できると期待されています。

私たちが取り組む光ファイバー式水素センサーは、
安全性・耐久性・長距離計測という特長を備え、従来の課題を解決しうる新しい選択肢です。

水素社会の実現には、確かな技術と信頼できる仕組みが欠かせません。
私たちはその基盤を支える技術開発を通じて、安心して利用できる水素社会の実現に貢献してまいります。

ヘテロコア光ファイバー水素センサーの完成イメージ