技術情報

弊社独自技術「ヘテロコア光ファイバーセンサー」についてご紹介します。


ヘテロコア光ファイバーセンサーの概要

 センサーとは、外部環境の変動を何らかの原理で信号の変化として取り込む(検知する)ものです。 光ファイバーをセンサとして活用するためには、外部環境の変動を光ファイバーのコアの中を通る光に変化を与える必要があります。 そこで、これまでの多くの光ファイバーセンサーでは、光ファイバー自体を引っ張る(常に適度に張りを保つ)、 もしくは曲率を与える(曲げる)ことで、光導波路に何らかの現象を作り出し、センサーとしての機能を実現してきました。 従来技術については参考文献にまとめられています。

 近年における高性能の光ファイバーは、少しぐらい引っ張られても、曲げられても、その影響を限りなく小さいものになりつつあります。 しかし、光ファイバーは、光をその内部に閉じ込め、外部からの影響を限りなく小さくして、遠くに情報を伝達するために開発されたものです。 したがって、光ファイバーは本来、そもそも強く伸縮したり、強く曲げたりして利用することに適していません。

 従来技術の原理・運用上の制約をできる限り排除し、光ファイバー自体の特性を活かした形で開発されたのが、「ヘテロコア光ファイバーセンサー」です。 ヘテロコア光ファイバーセンサーは、ガラスの可撓性(撓む性質)を巧みに利用しており、 「光ファイバーの曲率形状が正常に復元されれば同じ光損失が一意に再現される」という性質を原理にしています。

 図1は、ヘテロコア光ファイバーセンサーの基本構造を表しています。シングルモードファイバ(コア径9μm)の一部に、 異種のコア径(例えば5μm)の光ファイバを数mmの長さで融着・挿入することで「ヘテロコア(部)」と呼ぶセンサーポイントを形成しています。

ヘテロコア構造

 この構造は緩やかに曲げ(曲率半径10~30mm程度、通常のシングルモード光ファイバーでは光損失が入らないほどの曲率)を与えると、 ヘテロコア部境界で数dB程度の直線的な光損失変化を生じます(図2)。 この損失変化はヘテロコア部に加わる曲率変化に対して線形的な増減をすること、またヘテロコア部の挿入長によって変化の度合い(傾き)が調整できること、 曲率を与える繰り返し再現性は0.1%(5μm)以下であることなどが確認されています。 さらに、センサー部の温度依存をもたないので実環境下において温度補正に神経を使うことがないというのもヘテロコア光ファイバーセンサーならではの特長です。

ヘテロコア特性

 ヘテロコア部の光ファイバ線をただ放置しているだけではセンサとしては機能せず、どのような変形機構に委ねてモジュール化するかによってセンサーとしての機能が顕在化します。 弊社の「i-Lineシリーズ」は、このセンサー原理を応用して、変位計、傾斜計、水位計、マットセンサ、スイッチセンサ、セキュリティーセンサーを開発してきました(図3)。 最近では、医療福祉分野への応用として、ウェアラブル、ベッド用品などの開発も進めています。

i-Line

 ヘテロコア光ファイバーセンサーは、ヘテロコア部を通過する前と後の光量の変化を正確に測ることができればよく、 例えば、光源は駆動回路が簡素で省電力なLEDを、受光部には一般的なPD(Photo Diode)という非常にシンプルな構成で実現することができます。 言い換えれば、計測システムを低コストに実現できるということであり、これまで「光ファイバーセンサーは、電気式センサーに比べて自然環境下での利用が期待できるが、 装置が高額である」と言われてきた光ファイバーセンサー市場の開拓に大きく貢献できると考えられます。

 i-Lineシリーズ共通の計測器として開発してきた製品では、USBでPCに接続するタイプ、計測器自体にロガーを搭載したタイプ、 Bluetoothや3G回線などの無線通信機能を有したタイプなどがあります(図4)。

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参考文献

  • 渡辺一弘ら:計測自動制御学会論文集、35(1)、32-37(1999)
  • K. Watanabe et al.: IEICE Trans Electron, E83-C, 309-314 (2000)
  • 佐々木博幸ら:計測自動制御学会論文集、40(10)、981-987(2004)
  • 佐々木博幸ら:計測自動制御学会産業論文集、4(4)、25-33(2005)
  • 渡辺一弘:電気学会論文誌C、128(10)、1504-1508(2008)
  • 近哲也ら:計測自動制御学会論文集、49(12)、737-745(2010)
  • 佐々木博幸ら:レーザー研究、41(5)、337-341(2013)

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